Shift

新宿にて

天気はぱっとしなかったものの雨は降ってなかったので、ちょっとした用事もあったことだし、ちらっと新宿まで出かけてきた。むろんカメラとレンズは持参である。
shinjuku_20090627_1.jpg
EOS-1Ds MarkII / TS-E 24mm F3.5L II / 絞り優先AE F4 ±0EV (シャッター速度 1/60 sec 現像時にさらに+2/3補正) / ISO400 / WB: 白色蛍光灯 / Shift +7mm

レンズの整理候補というエントリでの検討を進めて、使用頻度の高いTS-E 24mm F3.5L IIを購入することとなった。最近のキヤノンの単焦点レンズの納期はかなり長いので、ありそうなときに買わないと買えないのである。(EF 24mm F1.4LIIはここ数ヶ月納期半年のままらしく、年内には手には入らなさそうという声を聞いている。)
そんなわけで、EF 50mm F1.4は某知人に安価に譲り、やたらレンズがダブりまくって混戦地帯な24mmレンズ群のうち、EF 24mm F1.4LとTS-E 24mm F3.5Lを整理することとなった。前者は新レンズと夜景を撮り比べて明らかに周辺画質の差を感じるので、手放すこととし、後者はダブるレンズなので手放すこととした。EF 24mm F1.4Lは購入したのが2003年11月2日だから、かれこれ6年くらい。メンテに出したときに若干の調整をしていただくまで、一時使わないレンズであったが、今まで使ってきたレンズでもっとも評価がころころ変わるレンズであったように思う。愛着のあるレンズであったが、泣く泣く手放すことにした。
TS-E 24mm F3.5LIIを発注した後に気がついたのであるが、フィルタ径が72mmから82mmに変更になっている。なんてことだ・・・ ついにうちのレンズにうもフィルタ径82mm時代が到来の模様である。うちは72mmが多く、PLフィルタは72mmと77mmを用意しているのだが、82mmも買い足さねばならないらしい。
そんなわけでざっくりTS-E 24mm F3.5LIIの写りであるが、今回は感度を上げて手持ちなのである程度差し引く必要があることと、昼間の撮影を行っていない状態なので話半分で聞いていただきたいが、EF 24mm F1.4LII、TS-E 24mm F3.5LIIでようやく満足がいく広角単焦点レンズをキヤノンが作ってくれたなと思うところである。
shinjuku_20090627_2.jpg
EOS-1Ds MarkII / TS-E 24mm F3.5L II / 絞り優先AE F4 ±0EV (シャッター速度 1/60 sec 現像時にさらに+2/3補正) / ISO400 / WB: 白色蛍光灯 / 逆Tilt
まあ逆ティルトで遊ばねばなるまいと思って適当に撮った写真。やはりこのレンズはティルト・シフトの効果の勉強に最適なレンズである。

デジタルなパース補正を考える

最近シフトレンズを導入したので、いろいろ考える所はあるのだが、デジタルになってからはたとえばPhotoshopのようなレタッチツールでいろいろな補正ができるようになってきていることもあり、ティルト・シフトレンズのような特殊用途レンズは効果だし必要ないと思っている人は多いと思うのだが、ニコンにしてもキヤノンにしてもこの時期にリプレースしてきている理由は、簡単にそういうわけではないと言うことだろう。

ティルトで実現でいるパンフォーカスな表現はどんなに頑張ってもフォーマットサイズの小さなカメラで広角レンズにて絞り込まない限り実現できないと思う。最近流行っているが逆ティルトしてミニチュア模型っぽく撮影する技法は、後処理で擬似的に再現できそうな気がするが、できてくる写真はちょっと違う気がする。
で、本題。建物写真を撮影するときはどうしても見上げて撮影することが多いので、上すぼまりの写真になる。たとえばこんな感じ。
original.jpg
EOS-1Ds MarkII / EF 24mm F1.4LII / 絞り優先AE F5.6 ±0EV (シャッター速度 1/25) / ISO: 200 / WB: Daylight (以下撮影条件は同一)
これをPhotoshop CS4のフィルタ→変形→レンズ補正で縦方向のパース補正を行うとどうなるだろうか?
d-shift1.jpg
Photoshop CS4でのこの補正は写真を板に貼り付けて画面の中央を通る水平な軸で上側を手前に回転して、回転前の板に射影したような変形になっている。回転量はグリッドを表示させて垂直線が垂直になるように補正すればOKであるが、きっちりやり過ぎると異様に不自然な写真になるので、ちょっと上すぼまり感を残すのがポイントである。
確かにこの変形でパースは補正されるのであるが、上の写真のように余白ができる。この余白の量は幾何的な物であるからカメラの仰角から計算して出せるはずだが、まあそんな器用な人はいないと思うので、かなり広角に撮影しておきトリミングするわけだが、どの程度余裕を持って撮影しておけばいいかというのはなかなか難しい。この写真の縦横比を変えずにトリミングしてみる。ざっくり上の辺の中心を基準に15%トリミングするとけられがなくなった。こんな感じである。
d-shift2.jpg
パース補正をこんな感じに仕上げたければ、元の写真のように撮影しておかねばならないということである。これが難しいと考えるかどうかは人それぞれであるが、僕には難しい。露出をどう決めるかは置いておいて、シフトで撮影するときは、カメラの水平を取っておいて、横方向の構図を決めて、適当にライズ(上側にシフト)して上下方向の位置を決めれば、狙い通りに撮影できる。またトリミングするにしても自由度は格段に上がる。またこれだとパース補正が厳密すぎて気持ち悪いというのであれば、数度(たぶん1度から2度)カメラを上に向けてシフト撮影すればそこそこ自然な絵になる。(だから大判カメラはフィルム側をティルトできるのだろう。) ちなみにパノラマで複数枚つなぐときも、あらかじめどのように写るか予想できる点で後の処理の自由度は高い。
まあこういう訳でどうすべきかは難しいと思う所ではあるが、少なくともティルトやシフトができるレンズが不要であると言うことは全然無いと思うのである。今の超高画素なデジタルカメラが一般化するに当たって、逆に必要性が生じたと言うことだろうと思う。またティルトやシフトは風景とか建築写真だけに使うと思いがちではあるが、物撮りでもポートレートでも使えるのであれば有用である。ポートレートで全身を撮影するときにもシフトを使うと大分スタイルが補正できて違う写真になるので。(まあこの辺は魚住誠一氏の写真あたりが参考になると思うが・・・)