オイラーの公式って不思議な式だよね
そういえばお仕事的にはたまにオイラーの公式を教えることがあるのだが、これ美しい公式とは思う物の、これが如何に奇天烈な式かなかなか一見してわからんよね。さらっと理系の常識的な事を言うやつほど分かってないように思う。私もわからんわ・・・
オイラーの公式はこんな式
$$
e^{ix} = \cos x + i \sin x
$$
この公式の奇妙さは三角関数の存在だと思うのよね・・・ $n$を整数として、$\sin (\pi/2+2n\pi)$は1だから、
$$
e^{i(\frac{1}{2} + 2n)\pi} = i
$$
左辺と右辺を入れ替えて、両辺を$i$乗する
$$
\begin{align}
i^i &= [e^{i(\frac{1}{2} + 2n)\pi}]^i \\\
&= e^{(i[\frac{1}{2} + 2n)\pi]i} \\\
&= e^{-(\frac{1}{2}+2n)\pi}
\end{align}
$$
ということで、$i$の$i$乗は無限に多数の「実数」なのだが、$n = 0$の時を主値と言って、実際に計算機で計算すると約0.207879576と言う無理数になる。これはGoogle先生もそのようにこえてくれる。問題は$n = -1$、1ですら想像がつかない数に・・・ $n = 1$のときは約0.000388203204、$n = -1$の時は約111.317778。指数関数だから、この値の変化は当たり前か。あとこれらの値はすべて超越数であることが分かっている。
さらに奇妙な方向として$1^\pi$を考える。そんなの1じゃんという向きはこの公式を堪能していただきたい。
$$
e^{ix} = \cos x + i \sin x
$$
$n$を整数として、$x$に$2\pi n$を代入
$$
\begin{align}
e^{2\pi ni} &= \cos 2\pi n + i \sin 2\pi n \\\
&= 1
\end{align}
$$
となるのだが、これを右辺左辺入れ替えて両辺$\pi$乗する
$$
1^\pi = e^{2\pi^2ni} = \cos 2n\pi^2 + i \sin 2n\pi^2
$$
となって、$n$が0の時は期待通り1、それ以外の時は$2n\pi^2$が$\pi$の整数倍にはならないので、無限に多くの複素数になる。というか、他でも似たような物だけど、累乗って指数に対数関数が来るので、複素数までを考えるなかなか手強い・・・ 新しく公式を習ったらとことん使ってみましょうってことなのですね。
というのが昨日宴会の帰りに酔っ払った状態で購入して読みふけった志賀先生の本のネタでした。
数学という学問 Ⅱ: 概念を探る (ちくま学芸文庫)
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志賀 浩二
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