物理数学関連の本

高校生の頃はまさか自分が物理を志して、気がついたら物性の道に進み、何を間違えたか何の関係もない世界でやっぱり物理を使っているお仕事をする羽目になろうとは思わなかった。本と物理嫌いだったので。まあ数学は好きだったせいか、自分が必要な範囲であまり数学で困る羽目に陥ったことはない気がする。(正確には困ったら困ったで楽しむことにしているので苦になっていないだけだが・・・) 学生時代は本当に何も無い片田舎に住んでいたせいか、バイトはしていた物の、そこそこ暇な時間はあって、パズルゲームに取り組むがごとく計算していたのだろうと思う。(特に2年目と3年目は物理数学三昧だったなあ。) 先日職場にて、物理数学ってどんな本を読みました?と聞かれたので、思い出しながら書いてみることにする。大学の1年目で基礎的な解析学と線形代数をこなしている前提でいいよね。

一応基礎的なところから、多変数の微積分と線形代数はそこそこ勉強しておく必要はあるけれど・・・ 今時だと大学での最初の解析の時間でε-δで煙に巻かれてたいへんだーと言う時代でも無いだろうから、割と易しめで読める教科書としてサージ・ラングの「解析入門」と「線形代数学」を。後者は学生時代は絶版状態だったので、図書館の本をとっかえひっかえ借りて読んだ記憶がある。難しい本に取り組む(まあ一応「解析概論」とかも読んでいましたが・・・)、じゃんじゃん進めて、もっと他のことをやらないと、時間はいくらあっても足らない。
解析入門 原書第3版
解析入門 原書第3版
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S.ラング
岩波書店
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続 解析入門 (原書第2版)
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S.ラング
岩波書店
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ラング線形代数学(上) (ちくま学芸文庫)
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S.ラング
筑摩書房
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ラング線形代数学(下) (ちくま学芸文庫)
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S.ラング
筑摩書房
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さて、ここから物理数学関連。物理数学の攻めどころは、僕は関数論、Fourier解析、ベクトル解析、あといくつかの特殊関数がまず先かなあと思うのだが、意外にバランスのとれた本が無いので、古い本を読んでも1冊で終わることが無い。読んで解いて社会人になって本棚に残らない本と、買って調べるためのリファレンス本があって、前者はドリルとしてやった。まず前者から。
Fourier解析は教科書らしき物をまじめに読んでないので・・・ うちにはこれしか残っておらず、実際のところ何を読んだのか思い出せない。結局実際の物理の問題を解いているうちに使い方が分かったように思える。
物理現象のフーリエ解析 (UP応用数学選書 4)
物理現象のフーリエ解析 (UP応用数学選書 4)
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小出 昭一郎
東京大学出版会
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常微分方程式と変分法と特殊関数まわりは、大学の応用数学の教科書だったので、これを使った気がする。こういう計算演習は電磁気学と量子力学を学ぶときに役立った。いまだに球面調和関数やBessel関数のお世話になるので元は取っているといえる。類書はいくつかあるが、一通り計算演習をしたらあとは公式集なりMathematicaなり使いこなせるようになるだろう。(逆に道具や数式処理ソフトがあってもそれらが使いこなせるわけでは無い。)
物理のための応用数学
物理のための応用数学
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小野寺 嘉孝
裳華房
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ベクトル解析周りは数学の教科書を読んでもさっぱり・・・でして、結局ファインマンの3巻を読んでいて一気に理解が進んだように思う。というか、電磁気学もこの本が最良の講義録だと思うので、強く勧める。英語のお勉強の一環に邦訳3巻が含まれるThe Feynman Lectures on Physics, Volume IIはWebで自由に読めるので活用したい。
ファインマン物理学〈3〉電磁気学
ファインマン物理学〈3〉電磁気学
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ファインマン
岩波書店
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関数論は結局のところ留数定理を使いこなせれば良いので、入門本を一気に読んでから実際に計算にのめり込んでいくのであるが、イメージはわかない。幾何的なイメージは持っておく必要があって僕もなかなかに苦手であるが・・・ 絶版になって残念だけど、ニーダムの「ヴィジュアル複素解析」はおすすめ。この本はふんだんに絵があって、物理の問題も扱われているので読みやすい。(多値な関数が多機能関数と訳されていたり、たまに妙なところはあるのだが・・・ 原書はいつでも入手可能。数学の本も英語で読めますよね。)
複素関数 (理工系の数学入門コース 5)
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表 実
岩波書店
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ヴィジュアル複素解析
ヴィジュアル複素解析
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T. ニーダム
培風館
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あとリファレンス本であるが、こちらは昔から連綿と続く有名本が・・・結局我が家にもこれしか残っていない。線型代数やベクトル・テンソル解析は抜けているので、別な本が必要。
自然科学者のための数学概論 増訂版改版
自然科学者のための数学概論 増訂版改版
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寺沢 寛一
岩波書店
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学生時代に1巻だけ買ったまま、絶版となり入手できなくなっていたクーラン・ヒルベルトであるが、最近前半は復刊された。ドイツ語圏の教科書を読むとだいたいこの本をリファレンスに引くことになるので、たまに必要。下巻の復刊はいつになるのであろうか・・・
数理物理学の方法 上 (数学クラシックス)
数理物理学の方法 上 (数学クラシックス)
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丸善出版
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あと息抜きに読む系の本を。息抜きがあるのかどうかは知らないが・・・ いろもの物理学者こと前野先生の本はネタはウェブサイトで読めるので、参考にして欲しい。
物理数学の直観的方法—理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬〈普及版〉 (ブルーバックス)
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長沼 伸一郎
講談社
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今度こそ納得する物理・数学再入門 -誰もが答えを知りたかったFAQ- (知りたい!サイエンス)
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前野 昌弘
技術評論社
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触れていない物で残っていそうで、物理で使うものは、テンソル解析と群論まわり・・・? あとは自分で好きな本を自分で探していきましょ。意外と昔読んだ本は思い出せない物だ。書棚も引っ越しするたびに簡単な本から抜けていくし・・・(荷造りするときに整理してしまうので。) 意外に良い紹介はかけない物だ・・・