中望遠・望遠マクロレンズ、撮影倍率と画角とフォーマットサイズ

ずっと以前にマクロレンズで適当な倍率に揃えたときの、焦点距離の差すなわち画角の差がどのように現れるかという質問があったので適当に撮影してみた。桜を適当に撮影したので、倍率に若干の誤差(まあ被写体は風で動く物ですから)はあるものの、ざっくりとした比較は可能かと思われる。絞りの効果も差を見るために絞りは揃えて撮影を行った。
本来このエントリーは1年前にアップできたエントリであるものの、しばらく忙しくて放置していたら桜の季節でなくなってしまい、引っ込めてしまった物であるが、桜のシーズンがやってきたのでまあ良いだろう。

100mm付近の中望遠マクロレンズは手ごろな価格で、気軽に接写できる焦点距離と言うこともあり、マクロ撮影をやる人で持っていない人はいないであろうというレンズだと思うが、個人的には「気軽である」というのはフィルム時代の話であって、APSサイズの一眼レフデジカメが普及してしまった現在となっては、そこそこ注意が必要な望遠マクロレンズになっているように思う。ということで、実際にほぼ同じ内容でEF 100mm F2.8 MacroとEF 180mm F3.5L Macroで撮影を行った物である。共通するのはいずれもEOS 5Dで撮影し、絞りはF3.5、撮影倍率は約1/2倍である。画像の輝度はそれなりに補正している。(実際はどちらもアンダー目に撮れてしまっている。) さすがに動いているものと言うこともあり、ちょっとした撮影距離の差が倍率の誤差となっていることをお許し願いたい。絵の雰囲気、背景の配置、ボケを参考程度に比べていただきたい。実際に静物での接写の差は機会を設けて本エントリーに追記する予定である。
135サイズにおける差

100mm-Full.jpg
EOS 5D / EF 100mm F2.8 Macro / 絞り優先AE F3.5 / ISO: 100 / WB: Daylight
180mm-Full.jpg
EOS 5D / EF 180mm F3.5L Macro / 絞り優先AE F3.5 / ISO: 100 / WB: Daylight
135サイズにおいては画角が2倍程度違う(対角線画角は100mmは24.4°、180mmは13.7°。)こともあり、被写体の大きさがほぼ同じでも背景に写り込む物の遠近感はかなり異なる。変化がついて見えるのは100mmの方がそこそこ画角が広いためである。ボケ量に関しても絞りと焦点距離の差が見て分かる程度の差があるため、絵の内容の変化を付けやすく比較的使い分けしやすいと思われる。また50mm付近のマクロを導入するとさらに画角の変化がつくので、135サイズにおけるマクロレンズは画角の点において選択肢が多い。
APS-Cサイズにおける差

100mm-APS.jpg
EOS 5D / EF 100mm F2.8 Macro / 絞り優先AE F3.5 / ISO: 100 / WB: Daylight / 62.5%にトリミング(APS-Cにトリミング)
180mm-APS.jpg
EOS 5D / EF 180mm F3.5L Macro / 絞り優先AE F3.5 / ISO: 100 / WB: Daylight / 62.5%にトリミング(APS-Cにトリミング)
我が家にはAPS-Cサイズのカメラが無い(APS-Hはあるのだが)ため、フォーマットサイズを変更したことによる差を見るために、単純に撮像素子の大きさの分をトリミングして比較を行った。(APS-Cサイズは135サイズの1/1.6倍すなわち62.5%。)
APS-Cサイズにおいても当然画角は2倍程度違う(対角線画角は100mmは15.5°、180mmは8.6°。)のだが、どちらにしても画角が狭く背景が省略されすぎることで、背景に写り込む物差が小さくなっている。(無論遠近感の差や写り込む物の差はあるのだが・・・)
簡単なまとめ

135サイズとの比較では、APS-Cにおける100mmの絵の構成が、135サイズの180mmにおおむね近い。(画角がほぼおなじなので当然である。) 従ってAPS-Cにおいては100mmは完全に望遠マクロな使い回しとなる。135サイズにおける180mmの(画角が狭く、若干暗いことに起因する)使い勝手を考えると、APS-Cにおいては100mmとの変化がつきにくい180mmマクロを導入するより積極的に100mmマクロを使い、50mm付近のマクロレンズを導入した方がレンズの画角による絵に変化を出し易いであろうと思われる。ただ残念なのは30mm付近にマクロレンズが存在しないと言うところであろうか。